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社会 / SOCIETY

朝日新聞取材による楢葉町草野孝町長の考え 2009年

公開日時:2011-09-20

 

●「原発のごみ」最終処分場、福島・楢葉町が誘致検討
    朝日 2009年3月15日3時0分
 東京電力の福島第二原子力発電所が立地する福島県楢葉(ならは)町の草野孝町長が、原発から出る高レベル放射性廃棄物の最終処分場誘致を検討していることがわかった。朝日新聞記者の取材に明らかにした。処分場は02年から公募中で、これまで高知県東洋町など約10の自治体で誘致の動きが起きたが、反対運動で未定のまま。応募すれば、原発を抱える自治体では初めてになる。

 草野町長によると、処分場を公募している経済産業省の認可法人「原子力発電環境整備機構(NUMO)」の担当者を来月にも町内に招き、誘致に向けた勉強会を町議や住民代表と開くことを考えている。草野町長は「福島県には原発が10基あり、原発との共生は町の課題。安全性が確保されれば、住民の理解を得て処分場の受け入れを考えていきたい」と話している。

 福島県内の自治体幹部によると、草野町長は昨年12月にも、原発のある近隣3町の町長や議長らとの原子力政策の勉強会で、処分場の候補地選びが難航している現状を踏まえ、「町が考えてもいい」と受け入れに前向きな発言をしたという。
 処分場の候補地としての適切さを調べる第1段階の「文献調査」に応募すると、年10億円の交付金が入る。建設が決まると、累計約1600億円の税収や約1.7兆円の経済波及効果が見込まれる。

 楢葉町は07年度決算の歳入が61億円。福島第二原発1、2号機があり、東電からの豊富な原発関連の税収で地方交付税の不交付団体だ。それでも処分場誘致を検討することに草野町長は「原発の税収は今後、徐々に減っていく。財政力が豊かな今のうちに地域振興策の一つとして冷静に議論したい」と話す。複数の町議も誘致について前向きな考えを示している。
 これまで誘致の動きがあったのは、いずれも原発がなく、財政力も小さな自治体ばかり。原子力自体への警戒感から住民による反対運動が起き、未定となっている。このため政府や電力業界には「原発の立地地域の方が理解を得られやすい」との期待がある。ただ、楢葉町は既に多額の原発マネーを得てきただけに、近隣自治体から「地域の原発依存が強まりすぎる」との反発も起きそうだ。
 草野町長は現在5期目。昨年4月の町長選でも原発との共生を掲げ、新顔2人を破った。
     ◇
 〈高レベル放射性廃棄物の最終処分場〉 原発の使用済み核燃料からウランなどを再処理工場で取り出すと、放射能レベルの高い廃液が出る。いわば「原発のごみ」で、これをガラス原料と一緒に固めたものが高レベル放射性廃棄物。最終処分場は地下300メートルより深い地中の岩盤に建設する。慎重な地質調査が必要なため、候補地応募から操業まで30年以上かかる。

●だから原発ごみ最終処分場を誘致したい 福島・楢葉町長 
朝日 2009年3月15日7時28分

 福島県楢葉町の草野孝町長が、原発から出る高レベル放射性廃棄物の最終処分場誘致を検討する意向を示した。楢葉町を含む東京電力の原発が立地する4町は1月、福島第一原発3号機(大熊町)でのプルサーマル導入を求めたばかり。財政が豊かな町がなぜ今、誘致を考えるのか。複数回にわたって朝日新聞記者の取材に応じた町長との主なやりとりは以下の通り。(中川透)

 ――なぜ、原発の最終処分場の誘致を考えたのか。
 「処分場の候補地はなかなか決まらないが、どこかに作る必要がある。原発を抱え、使用済み燃料を出し続けている立地地域として無視できない課題だ」
 「使用済み燃料の再処理工場や中間貯蔵施設は青森県にできた。ただ、何でもかんでも青森に持っていけばいいというものではない。福島県内には10基の原発がある。あの施設はよくて、この施設はだめ、と言うのはよくない。立地地域の使命として、前向きに考える必要があると思う」

 ――誘致に向けて、いつごろから動き出す考えか。
 「来月以降に臨時議会を開くなどして、議員のみなさんへ正式に相談してみようと考えている。そのうえで、原子力発電環境整備機構(NUMO)の担当者を町内に招き、議員や町民代表のみなさんと一緒に勉強会を開きたい」

 ――議会や町民の理解は得られると考えているのか。
 「町長が独断で決めるのはよくない。町民の意見をよく聞き、しっかりと合意形成を図っていきたい。議会にもこれから相談するが、一部の議員からは賛同を得られそうな感触を得ている。原発と末永く共生し、地域づくりにも貢献できる施設ならば、町民の理解を得られるはずだ」

 ――最終処分場は、安全性に対する不安も根強い。
 「その点は、NUMOや経済産業省の担当者が、説得力のある説明をしてほしい。ただ、原発が既に建てられた地域だけに、岩盤など地層について大きな問題はないと思う。国から住民に対し、説得力のある分かりやすい資料を出してもらい、きちんとした説明をしてほしい。そのうえで、町民の間でしっかりと議論して結論を出したい」

 ――地方交付税の不交付団体で、財政は豊かなはずだが……。
 「原発からの固定資産税収は徐々に減っている。町内にある公共施設の維持管理にも今後、安定した財源が必要になる。ただ、財政難から交付金目当てに処分場の候補地に応募したと言われないよう、まだ財政が豊かな今だからこそ、今後の町の振興策として冷静に議論したい」

 ――町づくりとの関連では、どんな考えなのか。
 「町の発展には優れた人材が不可欠だが、町内には高等教育機関がない。このため、人材育成センターをつくりたいと考えている。原発があって多くの雇用先があるのに、地元からの採用は少ない。特に、管理職になれるような人材が少ない現状に、人材育成の必要性を感じている」

 ――住民から反対運動が起きる可能性もあると思うが。
 「反対がゼロということはないと思うが、賛同者も出てくると考えている。若者が減り、お年寄りが増える一方なのが町の現状だ。安全性が確保されたうえで、これからの末永い地域振興にも貢献できる施設ならば、町民の理解を得られるはずだ」
    ◇
 日本は、一度使った原発の使用済み燃料からウランやプルトニウムなどを取り出す核燃料サイクル政策をとっている。取り出す役割は青森県六ケ所村の再処理工場が担っており、その過程で生まれるのが高レベル放射性廃棄物だ。

 青森県にはこのほか、再処理する前の使用済み燃料を保管する中間貯蔵施設も作られている。「原発のごみ」に関する施設が集積する一方、青森県は国との間で「青森を最終処分地にしない」との約束を確認し続けている。

 このため、最終処分場は青森県以外に作る必要がある。処分場の候補地は02年に公募し始めたが今も未定。使用済み燃料をもう一度原発で使うプルサーマル計画とともに、国の核燃料サイクル政策の遅れにつながっている

 

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